活字をこえて

製本と修繕を習っています。本に関することや考えたことの記録。

20190217【製本修行】3~5冊目完成

お師匠の繁忙期に区切りがついたので、筒井敬介著(?)『ガリバー 十六年七か月の旅』林芙美子著『散文家の日記』出隆著『詩人哲學者』の続きをしに工房へ。
表紙を作るところからなので、箔押しまでいくのは難しいかな…と思っていたら、お師匠は完成させる気まんまんでめちゃくちゃ仕事が早かった。娘さん曰く、仕事が立て込んで職人モードになっているとのこと。

箔押しはただでさえ頭が沸騰しそうになるのだけど、本のサイズと厚みが3冊とも同じなのが幸いし、レイアウトが同じにできたので楽だったが、3冊分のタイトルと著者名の活字を拾うのが大変だった。その間に表紙を乾かせられたくらい。
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(ガリバーのタイトルの割り付けはもとの本を参考に。)

職人モードのお師匠によってクロスの色はぽんぽん決められてしまったが、並べるとこれはこれでよい配色。文脈のない3冊は似ていない兄弟みたいで、なのにお揃いで色違いの服を誂えたみたいになっていて可愛い。

このうち丸背のガリバーと詩人哲學者は、硬い机の角で背表紙をごしごし擦りつけ、アールをつける。なので柔らかい厚紙を使うとのこと。
そして耳の部分を接着してコテをしっかりと押しつけ、見返しの紙の具合を見て、ガリバー以外は科学糊、ガリバーは元の見返しを活用して和紙で裏打ちしたものなのでライス糊を使うことにした。刷毛に含ませる糊の量を調節するのが難しい。万力で20~30秒固めて、ガリバーは元の表紙絵を貼る。あとは糊が染みてこないように家で乾燥させればいい。
↓完成
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↓もとの表紙
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丸背作るの難しかったな、こうして見るとガタガタ…。

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乞食王子だけ表紙を作るときにサイズを間違えて、最後の最後で天地を裁断したので小さめ。
絵本を含め、これで持ち込んだ古本5冊文を完成させることができた。娘さんが入れてくださったコーヒーを飲みながら相談して、次からは平綴じを学ぶことに。材料は自分の作品で、作品集みたいにすることにした。袋の状態で印刷しなくてもいいなら、家のプリンターで用意できそうだった。

(1月に刊行した自作の小説を娘さんに献本したところ、なんだか特別大事にちょっとずつ読んでもらっている様子。ありがたく、嬉しいな~)